とにかくクルマが大好き。いつか自分のつくったエンジンを載せて走らせることが夢だったけど、その夢が実現可能なリアルな目標になってきた。
いま取り組んでいるエンジンが試作や検討を繰り返してようやく最終ゴールが見えてきて、いよいよこれから世の中に出回ることになると思うと、それが楽しみでしょうがない。
僕が係わったエンジンを搭載した新車が街を走りまわると想像するだけでもワクワクしてくるんです。
担当は、エンジンのシリンダーブロックの設計。開発段階で排気量とかターボがつくつかないとか大まかなパッケージが決まっているけど、それ以外はほとんど自由。どういう設計にするか、まずはひらめいたままに自由に形を決めて、こんな感じかなってパソコンや手計算で大まかなあたりづけをする。
見込みがあると証明できたら試作品をつくって、データを集めて、より軽くてなおかつ信頼性の高いシリンダーブロックに仕上げていくというのが僕の役割。自由発想って、何でもやっていいだけにかえってむずかしいけど、それだけにやり甲斐も大きいし、挑戦する心も大きくなる。
エンジンとの出会いは、高校生のときに原付の免許を取ったとき。バイクがこわれてしまってショップに持ち込んだことがあって、そのとき自分で直してみなよ!って言われて、直しはじめたらそれがすごく楽しくって、いつのまにかエンジンばらしたりチューニングしたりするようになっていて、それからはまさに走ることが生き甲斐。
レーサー仕様のバイクで関東ロードミニという地方選手権にフル参戦していて、週末は車両整備をしているかサーキットでフリー走行しているかのどっちかという生活。でも、そんな走りの楽しさを知りつくしている僕だからこそ走りを求めているエンジンがつくれるんじゃないかと自負している。
自慢できるところは、これだと決めたら最後までやること。中途ハンパはキライ。エンジンの開発ってけっこう長いスパンがかかるけど、変わらぬ信念を持って理想のエンジンづくりをこれからもめざしたいですね。